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年頭挨拶【草原会長より】  

年頭挨拶【草原会長より】  

年頭挨拶【草原会長より】  

令和3年を迎えて年頭に思うこと

公益社団法人日本空手協会

会長 草原 克豪

 
会員の皆様、明けましておめでとうございます。

昨年は新型コロナウィルスに翻弄された1年でした。日本空手協会においてもほとんどの行事を中止せざるをえなくなりました。会員の皆様も、思い通りの稽古ができず、何かと不自由な日々を送ってこられたと思います。

新たに迎えた令和3年がどういう年になるのか、先行きは不透明ですが、人間の歴史はウイルスとの闘いの歴史ともいわれるように、これからもしばらくの間は、コロナウイルスと闘いながら共存していく日々が続くことになりそうです。その中で日本の社会システムが100年に一度の大変革を遂げようとしています。

人間は自分の置かれた環境を意のままに変えることはできません。与えられた状況をあるがままに受け入れ、できないことを嘆くのではなく、できることを見つけて実践するしかありません。大事なことは、何ができるかを自分の頭で考え、工夫し、勇気を出して挑戦することです。

さいわい空手道は基本的には非接触型の武道です。組手は難しくても、形の稽古はできます。しかも一人でできるのです。この特徴を活かして、科学的知見に基づいた感染防止に十分留意しながら、オンライン稽古なども活用して、自分なりの稽古を根気強く続けていくことが重要です。稽古の場は必ずしも道場である必要はありません。船越義珍先生の教えの中にも「道場のみの空手と思ふな」(「空手道二十箇条」)という言葉があるのです。

またこの機会に、自分は何のために空手を修行するのかということを今一度問い直してみるのも大事なことでしょう。昔のように武士が活躍した時代とは違い、現代社会においては日常生活の中で素手で戦い合うということはなくなりました。にもかかわらず、私たちは空手の稽古を続けているのです。なぜでしょうか。それは空手道が文明人の自己鍛錬・人格向上の手段として有効だからです。学問や知識を身につける必要があることは言うまでもありませんが、私たちはそれだけでなく、「正義」を貫き「公」に奉仕する武道精神を兼ね備えた「文武両道の士」となることを目指しているのです。空手に限らず武道の道を志すことの意味はそこにあるといってよいでしょう。日本空手協会ではこの高い理想に向かって一歩一歩前進するために、「道場訓」の教えに沿って空手道の修行に取り組んでいるのです。

空手道の究極の目的は「己に克つ」ことであるとも言われます。いつでも、どこでも、どんなに困難な状況下においても、自分自身をしっかりコントロールできる人間になることです。そのためには技術だけでなく、精神をコントロールすることが重要になってきます。これは簡単にできることではありません。だから空手道にはこれで完成ということがありません。永遠に未完成です。だから生涯空手、生涯武道なのです。

年の初めに、これらのことを改めて確認し、そのうえで自分に合ったペースで稽古に励み、心と体の状態を正常に保つよう努めてほしいと願っています。そして皆様の道場が、会員同士の強い絆によって支えられ、ソーシャルディスタンスの時代にあっても誰も孤立することなく、互いに寄り添いながら切磋琢磨し合える場として、重要な役割を果たしていくことを願っています。

新しい年が皆様にとって、暗いトンネルの先に明るい希望の光を灯す年となることを祈念いたします。

 

公益社団法人日本空手協会は内閣府認定の公益法人として品格ある青少年育成につとめております。
当会主催の全国大会には、内閣総理大臣杯、及び文部科学大臣杯が授与されております。